こんなはずでは…

経験

久しぶりの映画館

自宅に帰ると、家族がそれぞれに約束があり、僕が一人になることが判明したのでした。一人でいるのもいいのですが、なんかなぁと思い、映画を観に行くことにしました。ここ最近は、小さな画面でアマゾンプライムを見るのみでした。たまには、映画館に出かけようと思い立ちました。

映画館という非日常

最寄りの映画館は、事前にウェブ予約が必要なのでした。サイトを尋ねてみると、数年前とはやはり勝手が違うようでした。なんとか必要な情報の入力を進め座席の指定の画面になりました。あまり他人の目を気にしないとは言いつつも、一人で映画館に入るには、ちょっとした強い気持ちが必要です。誰も予約の入っていない列の真ん中の席を確保して予約完了。映画時間までの間、本を読み、部屋の片付けなどをしているとあっという間に、出発する時刻になりました。

映画館に着くとワクワクしてきました。たまには、こういう感覚もいいものです。館内には、大勢の人たちがいます。友達や恋人、親子たくさんの人たちで賑わっていました。非日常を仲の良い人たちと共有する空間。改めて映画の、そして映画館の魅力を知った思いです。

開場時間になり、受付でQRコードを提示して、指定の席へ。予定通り真ん中の席へ。まぁ、多少見上げる感じがするけれど、まぁいいさ、一人だし…。

「えっ…、マジ…?」

「えっマジ?」女子中高生でしょうか、僕に向けて囁きあっている声が聞こえました。みると4、5人の女子達が僕の列で、しかも僕の隣にずらりと座るようです。「はぁあぁ。」「ちゃんと予約する際座席を見たのだろうか?一つくらい開けて、予約しなさいな。僕が先に席を取っていただろうに?俺も嫌だけど、君たちだって嫌だろう。」逡巡している僕をよそに、隣の子は、僕の座席の左側にポップコーンとドリンクのトレイを無造作にセットしたのでした。「何か言えとは言わないが、隣人に配慮する態度があるのではないかね?」なんて、頭の中で嘯きながら。

あぁ、早く始まらないかなぁ。映画に没頭すれば気にならないだろうし。早く、早く…
すると、そんな僕に追い打ちをかけるような出来事が…。

「えぇぇ…、マジでぇ…。」

なんと、反対側からも女子中高生が複数で来たのです。パッと横を見ると、女子たちと一瞬目が合ったのでした。「えっ。」という顔をしました。一人のおじさんとその奥に並ぶ女子たち…。どんな風にその目には写ったのでしょうか。僕もおそらく「えっ。」そんな表情だったことでしょう。まだ救いだったのは、一つ隣を開けて座り始めたことでした。

全くの一人の列だったのに、おじさんの隣など最も避けたいであろう人たちの中に紛れてしまうとは…。「えっ…、マジ?…。」は、こちらのセリフでした。結局は、若い女子に囲まれてなぜかおじさんが一人という構図になってしまったのでした。

座席が埋まるほど人気のある映画だったのでしょう。
映画自体は、大変素晴らしいものでした。原作はもとより、製作するみなさんの熱意も感じました。妥協がない感じがしました。
作品から、様々なストーリーといったらいいのでしょうか、メッセージといったらいいのでしょうか、そういったものを妄想させる映画が好きです。僕の思いや考え方とどこか根底で共鳴する映画です。今回の映画でもまた、そのストーリーから妄想させられるストーリーやメッセージに強く共鳴し、心が震え、むせび泣いてしまいました。心の震えが、同じ列に座る僕のその日限りの友達のみんなに伝わらないか心配したほどです。

まぁ、これもまた、非日常。映画っていいなぁ。
僕の非日常の基本ラインは、低いと思います。それで良いと思っています。人によっては、映画館なんて当たり前の日常だよ、という人も少なくないでしょう。というか、それが一般のような気がします。
当たり前の生活にありがたさを感じ、日々みなさんが仕事として作り出す非日常に喜びをいただく。そんな生き方で、日常のたくさんのことに感謝できる自分でいたい。そう思うのでした。

ただの自意識過剰なおじさんでした。良い子達だと思います。「えっ、マジ?」に過剰に反応してしまいました。

読んでいただいてありがとうございます。良い1日になりますように。

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