「今って、いいのさなぁ。なんでも食えるからなぁ。昔はこんたに食いもん、ねがった。今はぁ、なんでもある。今は、いいのさなぁ。(今、いい時代になりましたね。何でもいつでも食べることができますものね。昔はね、こんなにたくさんの食べ物がない時代でした。今は何でもある。いい時代になりましたなぁ。)」
バナナの思い出
祖父がよく夕飯の時に、何度も繰り返して話していました。また始まったなぁと思いながら聞いていました。祖父は、太平洋戦争の末期に鹿児島へと送られたそうです。銃を持ったり、戦闘機に乗ったり…、という経験をする前に終戦を迎えたと聞きました。その祖父の過ごしてきた日々を、そして時代の変化を考えると、激烈な時代を生きてきたのだなぁと思います。僕の生活経験をもとにした想像が及ばないような時代だったのだと思います。
「バナナなんか、けねがった。具合悪ぐして入院するぐれぇのどきに、バナナかせでもらうぐれぇだった。今は、いつでも食えるがらなぁ。今っていいのさなぁ。(バナナなんて、手に入らなかったんです。寝込んで入院するくらいの時に、精をつけるためにバナナを食べさせてもらうことがあったくらいです。現代は、いつでも食べることができますねぇ。いい時代になったものだなぁ。)」
僕の朝食には、いつもバナナ
身の回りに食べ物が溢れ、バナナ以外にも様々な食材や料理がお金さえ出せば何でも手に入る時代です。僕の平日の朝は、バナナをいただくことが多いです。週末のうちにスーパーマーケットで、安価のバナナを購入しておきます。
暑いためでしょうか、ここ数ヶ月、朝の食欲がありません。バナナを1本いただいて済ませることが多いです。朝にたくさん食べるよりも、調子がいいなぁなんて感じることもあるくらいです。食べれる時にはバナナ2本いただくこともあります。冷蔵庫にヨーグルトがあるときは、バナナと一緒に、なんていう組み合わせをすることも、稀にあります。
優しさの器
この時代に、祖父が若者として生きていたらバナナをたくさん食べただろうか、好きなものを好きなだけ食べただろうか。
「オレはぁ、いいがらぁ、おめだちけぇ。(私は結構ですから、お前たちが食べなさい。)」
って、バナナも美味しい料理も譲ってくれるように思います。祖父も祖母も、そういう人柄でした。僕らが食べるのを横目に、お酒を召しているような気もしますが。
朝食に、バナナをいただきながら、思い出しました。この歳になっても、まだ欲に負けてしまう僕とは、人間性の根本が違うのだと思います。優しい祖父と祖母が好きでした。
お読みいただきありがとうございます。良い1日になりますように。