井上尚弥 対 ムロジョン・アフマダリエフ
『あぁ、そうか。そうだった。」
ボクシングはチーム戦でした。セコンドと選手、のみではなく、プロにもなるとチームで戦う組織力が勝敗を分けるのだと感じました。対戦相手に合わせて、スピード重視の戦いを想定するのか、足を止めて打ち合いになるのを想定するのか…。対戦相手を研究し、攻略する方法を考えて、そのための効果的なトレーニングを考え、12ラウンド通しての戦いのプランをデザインする。トレーニングだけではなく、食事管理やメンタル管理も行う。タイトルをかけて戦うレベルになると個人対個人ではなく、チーム対チームなのです。井上選手の勝利者インタビューを聞いて、ハッと気付きました。
徹する
今回のテーマは、井上選手のインタビューにもあったようにアウトボクシングだったのだと思います。”打たれる前に、打つ”、”打たれずに、打つ”というボクシングだったと思います。スピードを重視し、ディフェンスもかなり意識していると思いました。徹底的に研究されているであろう打ち終わりの右手のガードともみ合いにも注意を払っていたと思います。緊迫した集中力を感じました。12ラウンド通してスピードが衰えず、エンターテインメントを意識した魅せるボクシングもできる井上尚弥選手は、改めてモンスターだなぁと思います。
ボクシングの試合の緊張感に心がヒリヒリするほど、興奮します。それまで積み上げてきたトレーニングの全てを出して拳を交える姿に胸が熱くなります。
チームの絆
試合の興奮が冷めると、これまでどんなに苦しいことを乗り越えてきたんだろうと思いを馳せます。食事管理や体重管理一つとっても、一般人にはなかなか難しいものです。ダイエットのために、減量に挑戦したことがありますが、空腹に我慢できずに冷蔵庫を開けて食べてしまったことがあります。食事により健康を維持し、病気にかからないように怪我などしないようにしながらも、体を作り筋力を鍛え、12ラウンド動ける体力を付け、パワーアップとスピードアップを図る…、とてもとても個人が全てを管理し意識して実行できるものではないでしょう。
試合運びのプランニングも個人で攻略法を考えた上でデザインするのは困難だと思われます。個人の見取りでは、どうしても見落としがある。
試合に勝つこととこれからを見据えて、弱点を克服し、技術を高め、さらに強いモンスターになることもテーマとし、チーム一丸となって試合に臨む。
今回の試合を見て、改めて井上チームの戦略の素晴らしさと信頼関係の絆の強さを感じました。
試合開始前は、どんなことを考えていたんだろう。前日は何を考えていたんだろう。1週間前は?不安になることなどないのだろうか。故障や病気、体の不調などが直前に見つかったとしてもおそらくそれは隠して勝負に徹するのだろうな。とか、井上選手個人のチームへの信頼感とトレーニングに徹するメンタルとフィジカルの強さを感じるのでした。
とても熱くなる試合をありがとうございました。信頼と絆の強さが素敵です。
お読みいただきありがとうございます。良い1日になりますように。