福田こうへい 心に響く歌声

経験

自転車通勤から中古自動車購入へ

単身赴任が始まったのは、3年ほど前です。
自転車通勤をしていた僕は、自宅との行き来をする際の交通手段に悩みました。

JRやバスなどの公共交通機関を使えばいいだろうか。それとも中古でも自動車を購入するべきか。中古自動車の購入といっても、かなりの出費になります。

JRもそれほど本数は多いわけではなく、宿舎から駅までも結構離れていて、交通の便は決して良いとは言えません。JRやバスが運行していない時間帯の移動やその日のうちに自宅に戻らなければならない緊急時のことも考えて、中古の自動車を購入することに決めたのでした。

どこかの会社で営業に使われていた自動車らしく状態はかなり良好です。ただ、型式はかなり古く、カーナビなどは付いていますが、正確な位置を示すことは、まずありません。先日は、画面が真っ暗だなぁと思っていたら、岸が見え始め、海の中を走っていたことになっていたのでした。DVD機能もありますが、先日ディスクを入れてみたところ、音声しか流れませんでした。テレビ機能があるので、押してみると1セグの表示が…。そんな時代の自動車です。それでもかなり格安で、短期間で納車できたことに、当時世話をしてくださった担当者さんに感謝です。この中古車とともに、僕の単身赴任生活がスタートしたのです。

単身赴任生活と精神状態

今でこそだいぶ慣れましたが、単身赴任生活は、寂しいものです。「あぁ、僕は寂しがり屋だったんだなぁ。」ということを単身赴任生活が気づかせてくれました。大抵自宅には誰かいて、話し声やら調理している音やらテレビの音声などが聞こえているのが当たり前でした。話し声や物音、誰かの気配が僕に安心感を与えてくれていたことにも気づかされました。

宿舎は、あまりにも静かなのです。一人では、誰とも会話できません。(当たり前ですが。)テレビも置いていません。人の気配も感じず、遠くで車が走る音とケモノの鳴き声がやけにはっきりと聞こえてくるのみです。人の話し声や物音、気配や温もりが全くないのです。安心感を得られないためでしょうか、平日は深く眠れないことが多くなりました。

中古自動車の中の出会い

僕の購入した中古自動車には、以前の使用者(会社)が入れていた音楽が入っていました。自宅から宿舎へと中古自動車を走らせ戻る日曜日の深夜、何気なく自動車に入っている音楽を寂しさを紛らすためにかけていました。

聴こえてきた歌声に、魅せられました。知らぬ間に涙が流れ落ちていました。

「福田こうへい」という歌手でした。そのアルバムで徳光和夫さんが曲の合間にナレーションを入れていて、紹介していたのでわかりました。東北に住む僕は、福田こうへいの名前は知っていました。僕はボウイやブルーハーツ、聖飢魔IIの世代で、タテノリのロックが大好きで、それは今でもあまり変わっていません。そういうわけで、当然のことながら、福田こうへいに関心はありませんでした。

福田こうへいの歌

けれど、福田こうへいの歌には、僕の心を揺さぶる何かがありました。寂しさを強く感じていた当時の僕の心と、福田こうへいがお父様の教えのもとで歌に込めてきた思いが、共鳴したのかもしれません。

福田こうへいのファンになりました。歌や音楽について、全くの素人の僕ですが、聴けば聴くほど、鍛え上げた歌声や歌唱力、歌詞の解釈など、技術的な高さがあるのだろうなと感じます。その技術とともに、心に刺さる歌なのです。生きることへの悲哀が伝わってくるように感じます。僕の苦しみも悲しみも受け止めて理解してくれているような感覚を覚えます。聴いている曲が、東北を題材にした歌であるということも関係しているかもしれません。でも、それだけではない、福田こうへいの歌の力だ。そう思うのです。

中古自動車との出会いが、演歌などに興味のなかった僕に、「福田こうへい」という素晴らしい歌手を教えてくれました。今では、様々なアルバムを入手して聴いています。今は、福田こうへいの歌う「酒よ」が大好きです。演歌もとてもいいものです。

寂しがり屋の僕の精神状態を支えてくれました。ナビが正しい位置を示さないけれど、中古自動車の購入は大正解でした。中古自動車と福田こうへいさんに感謝です。

読んでいただきありがとうございます。良い1日になりますように。

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