草刈りとバカの壁

学ぶ

養老孟司さんと自然

養老孟司さんの著書を多く読みました。その著書から、多く学ばせていただきました。僕の地元に講演でいらっしゃった時には参加させていただきました。自然の中で過ごす時、社会の中で不自由さを感じる時、養老孟司さんの言葉を思い出すことがあります。

草刈りと妄想とバカの壁

草刈りをしました。実家に畑が3面ほどあり、雑草が生い茂り流石に見過ごせない状態になりました。隣の畑にも迷惑がかかるだろうし、見た目もなんだかなぁと思い、重い腰を上げて草刈りに出かけました。3面の畑があるので、4時間ほどずっと草刈り機を操作しました。暑い中での作業でしたので、作業着は汗と草でびっしょりになりました。ずっと機械操作をしていたので、腕が、特に右腕が今も軽く痺れています。エンジンの排気ガスの匂いが鼻の周りにこびりついている感じもあります。熱中症予防のためにも、水分補給は心がけました。500mlのペットボトルが2本空きました。

草刈りの楽しさと気分の良さ

作業中は、様々なことを考えました。出来るだけ早く終わらせるため、効率よく上手に草刈り機を操作するにはどうすればいいか、ブレードの動かし方は直線がいいか曲線がいいか、エンジンの回転数を上げるのはどのタイミングがいいか、右手と左手の力の入れ方はどうしようか、腰のひねり方はどうすればいいか、この斜めの法面の刈り方はどうしようか、足のポジションは…、力の入れ具合は…、右腕が疲れないようにするには…、などなど。
いろいろと試しながら、上手に草を刈ることができると、案外楽しく、そしてうれしく、なかなかに気分が良いものです。1時間ほど草刈りを続け自分の刈り取ったところが綺麗に整っていると、さらにやりがいを感じました。雑草を排し、自分の思うような整った土地に近づけられたという充実感がありました。

草刈りと妄想

作業効率を試行錯誤ながらも、別なことも頭に浮かんでは消え浮かんでは消えしました。雑草という自然相手の作業をしていると養老孟司さんのある言葉が思い浮かんできたのです。「子どもは自然である。」「現代社会は、ああすればこうなるという明確な論理のもとで、脳が作り出したものである。」という内容の言葉です。読んでから時間が経っているので、正確な内容は失念しました。(間違っていたらすみません。)この社会は、僕たちの人間の脳が作り出したものです。歩きやすいように、自動車が走行しやすいように地面をアスファルトで塗り固め、怪我をしないように事故が起こらないように消毒され管理された公園で遊び、室内の空気や室温まで人間や人間が作り出した機会が管理する。人間の論理を駆使して、整えてきた環境が現代社会です。仕事には必須のパソコンやスマホなどは特に、脳で作られたもの、脳の外部装置といってもいいでしょう。
都市生活は、自然と隔離された生活です。自然の不確定な要素は排除し隔離されているため、時に人々は、自然が恋しくなるのでしょう。近年のアウトドアブームや体験学習などがもてはやされているのは、そんなところに理由があるのかもしれません。養老孟司さんは、「自然は中立だ」とも言います。自然は、良い空気や眺めの良い景色のように安らぎを与えてくれるだけではなく、台風やゲリラ豪雨、火山の噴火、地震や津波、雑草も全てが自然なのです。自然は人間にとって優しくもあり恐ろしくもあるのです。

整える自然と受け入れる自然

自然は優しくもあり恐ろしくもある。「子どもは自然だ。」子どもは予測不能。良いこともすれば悪いこともする。子どもは中立。頭で考えるよりも体で感じながら行動する自然な存在。
デコボコした道を排除し、自然を取り除き、ああすればこうなるで整えた世の中には、不安定要素はいらない。だから少子化が進む。

僕は草刈りをしながら、雑草を刈りとりながら自然を刈り取っていたのです。思い通りにならない自然を取り除こうとしている行為です。ただ、人が生きる上で、自然をある程度整理しないといけません。僕が草を刈っていたのは、そのある程度の部分で必要な部分なのだと思っています。そう思いながらも、自然との共存をバランスよく、僕の生き方と思考様式の中に取り入れないといけないなぁ、と思ったのでした。
夕暮れに近づく程、汗の匂いに酔ってくるのでしょうか、草刈りを中断し、顔の近くに来た虫を手で払います。この畑の土の柔らかさを踏みしめて感じること、草の匂いを嗅ぎ、そこに生きる生き物に目を配ることも大事なのだよなぁと思ったのでした。

僕が草刈りをして感じた充実感は、きっと狩猟生活から農耕生活に移り社会生活を送り始めた頃の人々も感じていたと思います。生きていく上で整えるべき自然と、体を使って五感を働かせ感じとり受け入れていく自然とのバランスが大事だなぁと実感しました。

読んでいただきありがとうございます。良い1日になりますように。

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