「彼が選択した彼のラインだ。」
(ネタバレ注意願います。)
これまで僕のミュージックライブラリに入っている音楽をかけて家事をしていたところ、流れてきたのは”run away” Andrew Wattの曲です。興奮してきました。曲を聴いて、映画を思い出したのです。映画を見た当時、すごいなぁと感激して、僕はサウンドトラックを購入していたのでした。
Xミッション
スキーに、足繁く通っていた時期があります。スクールで教わったわけでもないので、自己流です。楽しく滑るくらいの技術は身に付いたかなぁと思っています。同僚にもスキーが上手な方はいるもので、刺激を受けて超上級者コースのコブ斜面を挑戦してみたこともありました。そのレベルの斜面になると、どこをどのように滑るかの判断は、かなりシビアになります。状況に瞬時に対応するスキルがあれば(それがあるのが上級者です。)、多少の判断のズレや誤りにも対応するのでしょうが、僕のようなレベルの者にはかなりシビアな結果が待っています。転倒する…だけですめば良いのですが、怪我をする…その怪我も軽度のものから重度のものまでありますし…、最近違和感を感じている左膝は、10年ほど前にスキーで転倒し、靭帯を痛めて、冬になり寒くなると毎年痛む箇所でした、そういえば。
スリルと興奮
Xミッションでは、サーフィンやウイングスーツ、スノーボード、バイク、ボクシングなど世界的に人気のあるスポーツが取り上げられ、登場人物たちは、どの種目でも常人離れの神業を見せます。そのスピードと技術で見る者を、スリルと興奮に包みこみます。カメラワークも超一級なのでしょうね。すごい人たちがいるものだなぁ、どうやってたくさんの種目のスキルを高められるのだろう、命知らずとはこういう人たちなのだろうかと感心させられます。
一瞬の判断
そんなスーパーアスリートでも躊躇する急峻なコースを主人公は、スノーボードで滑降します。「やれやれ、仕方ない…。」といった感じで仲間たちもその坂を滑り出すのでした。一瞬の重心移動、コース判断の誤りが大事故を招くようなそんなシーンですが、さすがスーパーアスリート、スピードを出しながらも適切なコースを取り、見事なスキルで素晴らしい滑降を見せます。
僕はスノーボードの経験はありません。スキーで、未圧雪のツリーランをしたこともありません。けれど、おそらくコースに不安がある場合、誰かの辿ったコースを滑るのが、一番安全だと判断すると思います。主人公が滑降したコースをたどって滑っていた一人の仲間が、ほんの少しの判断を誤ります。その判断は生死を分けるほどの誤りでした。彼は、崖の下へと落ちていくのです。
主人公は、自分がこの急峻な斜面を滑降したことと、自分のコースをたどったことによる事故だったことに自責の念に駆られます。実は、オフロードバイクで、同様の状況で自分の後に続いた友達を亡くしているのでした。
自分の選択した道
仲間の死を前に、自責の念にかられる主人公は、こう言います。(随分前なので、正確ではないと思います。)「俺の選択したラインで、彼は死んでしまったんだ。」仲間は、こう返します。「お前のラインだと?お前のラインなどではない。彼は、彼のラインを選択したんだ。」
自分の選択したライン。自分の選択の結果の失敗。自分の選択した道と冒険、危険。誰かの選択した道と安全、安心。自分の道。選択した判断。冒険。生と死。
僕は、自分の選択したラインを進んでいるだろうか。たとえそれが間違っても、失敗したとしても、自分が選択したことに、大きな大きな意味があるのではないか。谷底へ落ちていないけれど、誰かのラインをたどるだけでは、その滑走は、その生き方は、ほとんど意味をなさないのではないか。
run awayを聴きながら、自分の選択ということを思い出したのでした。Xミッション、とても興奮した映画でした。
読んでいただきありがとうございます。良い1日になりますように。